ＦＸで重要な政策金利を知ろう

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為替相場を動かす政策金利

金融政策は経済指標と並び、ＦＸのファンダメンタルズ分析において最も重要な要素の一つです。
各国の中央銀行は政策金利の調整を通し、景気のコントロールを図ろうとします。

今回は主要通貨の中でも注目度が高い、米ドル（ＵＳＤ）・日本円（ＪＰＹ）・ユーロ（ＥＵＲ）を中心に、ＦＸで必要な政策金利について学んでいきたいと思います。
先ずは言葉を整理しながら概要を見ていきましょう。

政策金利とは、各国の中央銀行が金融政策上の目的を持って定める目標金利のことです。
市中銀行に貸し付けを行う際、この目標金利に近づけるよう誘導します。

米国で中央銀行に相当するのはＦＲＢ（Ｆｅｄｅｒａｌ　Ｒｅｓｅｒｖｅ　Ｂｏａｒｄ・連邦準備制度理事会）で、ボストンやニューヨーク等全米１２区にある連邦準備銀行を統括しています。
ＦＲＢはＦＯＭＣ（Ｆｅｄｅｒａｌ　Ｏｐｅｎ　Ｍａｒｋｅｔ　Ｃｏｍｍｉｔｔｅｅ・連邦公開市場委員会）を開催し、金融政策を決定します。

米国ではＦＦレート（Ｆｅｄｅｒａｌ　ｆｕｎｄｓ　ｒａｔｅ・フェデラルファンドレート）の誘導目標が政策金利に該当します。
フェデラルファンドとは、米国の市中銀行が連邦準備銀行に預け入れる資金のことです。

一定額の預け入れが義務付けられているため、銀行間で不足資金を調達することがあり、適用される短期金利がＦＦレート、取引市場がＦＦ市場と呼ばれます。
米国はＦＯＭＣで示すＦＦレートの上下によって、市場の資金供給量を調節しています。

Ｆｅｄｅｒａｌは連邦の意味なので、米国はFで始まる用語が多いのです。
日本では日銀が金融政策決定会合において、政策金利や金融市場調節方針、資産買入れ方針等を決定しています。

現在の短期金利は、２０１６年に定められた▲０．１％のマイナス金利です。
長期金利については、

「１０年物国債金利がゼロ％程度で推移するよう」

長期国債の買い入れを行うという操作方針が定められています。

日銀はオペレーション（公開市場操作）を行うことが可能で、具体的には国債やＥＴＦ等の買い入れを行い、市中通貨量を増加させることで金利を低下させようとします。
オペレーションの概要やスケジュールは日銀ＨＰで公開されておりますので、一度覗いてみるのも良いと思います。

ユーロ圏では、ＥＣＢ（Ｅｕｒｏｐｅａｎ　Ｃｅｎｔｒａｌ　Ｂａｎｋ・欧州中央銀行）がユーロ通貨圏を統一する中央銀行の役目を持ちます。
ＥＣＢ政策理事会が金融政策を決定する会合であり、ＥＣＢの首脳陣とユーロ圏各国の中央銀行総裁で構成されています。

原則月２回開催されますが、第１回目に政策金利が決定されます。
各国中央銀行はＥＣＢで決められた方針に従い、各国内で金融政策を実施します。

ユーロは取引量が多い通貨のため、金融政策の動向が世界中から注目されています。
終了後の記者会見は取引通貨に関わらず、チェックされることをおススメします。

一般的な政策金利と為替相場の関りについても、簡単にまとめておきます。
景気が悪いときには、金融緩和政策の一環として利下げを行い、経済を活性化しようとします。

為替相場の側面から見ると、利下げは通貨が売られるため、自国通貨が安くなる要因となります。
逆に景気が過熱し過ぎているときには、金融引き締め政策として利上げを行い、経済活動を抑制しようとします。

利上げは通貨が買われるため、自国通貨が高くなる要因となります。
これらのことから、政策金利は為替相場にとって大きな関りを持つ存在と言えるでしょう。

なるほどＦＯＭＣ

ＦＯＭＣ（連邦公開市場委員会）について、あらためて詳しく見ていきます。
ＦＯＭＣはＦＲＢ（連邦準備制度理事会）が開催し、政策金利や金融政策を決定する会合です。

常任メンバーはＦＲＢ理事７名とニューヨーク連銀総裁、輪番制でニューヨークを除いた地区の連銀総裁から４名選出され、計１２名が投票権を持ちます。
他の連銀総裁もＦＯＭＣに参加はできますが、投票権は持ちません。

定期開催は約６週間ごと年８回で、臨時開催される場合もあります。
２日間の議論の後、声明文の公表とＦＲＢ議長による記者会見があり、３週間後に議事要旨が公表されます。

ＦＯＭＣは各投票メンバーがハト派（金融緩和派）なのかタカ派（金融引き締め派）なのかといったことも見どころの一つとなっています。
事前の発言内容からハト寄り、タカ寄りと判定することで、政策内容を予測しようとするものです。

「ＦＲＢタカ派化」

などとニュースで言われることもあり、その場合はドル高要因が出ているな、とトレンド予測をすることもできます。
政策金利であるＦＦレートの誘導目標は、０．００－０．２５％といったように範囲で示されます。

ＦＲＢはＦＦレートを誘導目標レンジ内に収めるため、資金供給（買いオペ）や資金吸収（売りオペ）といった公開市場操作を行います。
ＦＯＭＣ開催２週間前の水曜日には、地区連銀経済報告（ベージュブック）が公表されています。

米国１２地区の連邦準備銀行が管轄区の経済状況をまとめた報告書であり、ＦＯＭＣ議論内容のベースになるものとして注目されています。

ＦＸと政策金利

政策金利発表によって、為替相場にどのような反応があったのかを見ていきましょう。
２０２１／１０／０６、ＲＢＮＺ（Ｒｅｓｅｒｖｅ　Ｂａｎｋ　ｏｆ　Ｎｅｗ　Ｚｅａｌａｎｄ・ニュージーランド準備銀行）政策金利発表がありました。

事前の予想通りではありましたが、前回０．２５％→今回０．５０％と引き上げになりました。

＜ＲＢＮＺ政策金利発表からの推移　（ＮＺドル／円　４時間足チャート）＞

提供元：外貨ｅｘ　ｂｙＧＭＯ株式会社

１０／０６　１０：００の発表直後に小幅上昇、一旦売り優勢となりましたが、その後はわかりやすく上昇を続けたことが見て取れます。

「コロナ制限が緩和されれば景気の回復ペースが速まる」

といった声明の発表もありました。

２０２１／１０／２８、ＥＣＢ（欧州中央銀行）政策金利発表がありましたので、こちらも結果を見ていきます。
政策金利そのものは２０：４５に発表、前回から変更なく０．００％でした。

＜ＥＣＢ政策金利発表直後の変動　（ユーロ／円、ユーロ／ドル　５分足チャート）＞

提供元：外貨ｅｘ　ｂｙＧＭＯ株式会社

ポイントは２１：３０から始まったラガルドＥＣＢ総裁による記者会見です。
会見前はやや弱含みでしたが、タカ派よりの発言内容から急上昇し、対円（左側）、対ドル（右側）ともに強さを見せました。

この間、ドル／円はユーロ／ドル上昇の影響を受けてドル売り、値を下げる展開となりました。

＜ＥＣＢ政策金利発表直後の変動　（ユーロ／円、ドル／円　５分足チャート）＞

提供元：外貨ｅｘ　ｂｙＧＭＯ株式会社

ドル／円（右側）はユーロ／円（左側）と対照的な動きになっています。
ドル／円の取引においても、ユーロ圏のイベントには注意が必要ということがわかりました。

日本でも２０２１／１０／２８、日銀金融政策決定会合の結果が発表されましたが、ドル／円への反応は薄いものでした。
寂しいですが、日本円はあまり影響力がなかったようです。

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最後にスワップポイントについても触れておきます。
スワップポイントとは、高金利通貨を買って低金利通貨を売ったときに受け取りできる金利差調整分のことです。

逆に高金利通貨を売って低金利通貨を買うと、スワップポイントの支払いが生じます。
ドル／円の買いポジションでも何となく貯まっていきますが、高金利通貨を狙う手法があります。

トルコリラ／円（ＴＲＹ／ＪＰＹ）、メキシコペソ／円（ＭＸＮ／ＪＰＹ）、南アフリカランド／円（ＺＡＲ／ＪＰＹ）あたりが、代表的な高スワップ通貨ペアです。
新興国通貨は高金利が魅力ですが、ご存じのようにハイリスクでもあります。

政治的、地政学的なリスクが極力小さいものを検討することが重要となります。
他国の政治や経済に興味を持つことができるのは、ＦＸならではのメリットと言えますね。

難しい用語も多いのですが、金融政策について学ぶことで、米国以外の地域にも関心が持てるようになったのは良かったことだと思います。

今回はＦＸトレードの楽しみ方の一つとしてご紹介させていただきました。
実際に取引される場合はご自身の責任においてお試しくださいますようお願い申し上げます。

ご購読いただき、ありがとうございました。

今回のお話「ＦＸで重要な政策金利を知ろう」の続き記事へ↓

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